「私が? とんでもございません、ディアナ様」


ディアナの鋭い視線にも怯まないメリーアンは朗らかに笑った。


「私はアーノルド様のことをお慕い申しておりますが、何よりアーノルド様のお幸せを願っております。アーノルド様が選ばれた方でしたら、きっと間違いないでしょう」


「けれど」とメリーアンも目を鋭くした。そしてオリヴィアをじとりと見つめながらこう言った。


「アーノルド様を不幸にさせるようなことがあるなら、アーノルド様が例え悲しまれるとしても、私はそれをきっと取り除かずにはいられないと思いますわ」


それは自分のことを指しているのだろうとオリヴィアは分かっていた。

オリヴィアがアーノルドを不幸に導く存在だと、今この場ではっきりとメリーアンは言ったのだ。

おそらくディアナも分かっているだろう。「そう」とだけ返事をしたディアナの表情は固い。

張り詰めた緊張の中、オリヴィアは何と返答すれば良いのか計りかねていた。

そうしてただ黙っていることしかできなかった。