***


「雪乃、ちょっと手伝ってよ」



 職員室から出ると、タイミング良く現れた夏海が話かけてきた。
 まだ朝だっていうのに相変わらずバタバタしてる。



「あれ。髪切った?」

「何か前髪が邪魔でね」



 この間見た時より、さらに前髪が短くなってる。



「邪魔ではないでしょ」

「邪魔だよ! おでこが痒くなる」

「それ、短すぎるせいじゃないの?」



 制服が嫌だからってジャージ着てて、喋らなかったら本当に男子。心はちゃんと乙女なのに。



「それより運ぶの手伝って」

「手伝ってもいいけど、彼氏とは上手くいってるの? 話を聞かせて」

「交換条件ってこと?」

「夏海の惚気話も聞いておかなきゃ。またケンカしたって泣いた時に、すぐ対応出来ないもの」

「ちょっと、いつの話よ?」



 そういえば誕生日プレゼントは無事に渡せたのかな。


 わたしは夏海から、持っていた書類を半分受け取る。
 何かしらの資料らしく、何枚かに纏める作業があるのかな。生徒会長なのに雑用ご苦労さま、だ。