教師にファッションセンスを求めても無駄かなぁなんて笑えば、彼はちょっとムッとした。



「モジャか」

「その呼び方、やめろ!」



 一番、特徴的なのが天然パーマの髪。だからみんなにモジャって呼ばれてる。


 わたしはとりあえず体を起こした。



「あれか? 俺を虐待とか暴力とか言って辞めさせようとする、あれか?」

「あれがなにかはわかりませんけど、わたしは今とっても悩んでいるのでここにいました」

「悩み?」

「それと入学式が苦手です」

「それは言い訳にならないぞ!」



 モジャに捕まるなんて不運すぎる。でも、校舎や校庭から丸見えの場所で寝ていたわたしも残念。
 もう少し考えたらよかったんだけど、このとちの木の下が気持ちよくて、つい。


 睨んでくるモジャ。わたしはため息をしてしまった。



「校長の長い話。生徒会長のありがたいお言葉。新入生代表挨拶。来賓の挨拶。他にもありましたっけ? だいたいわかっていますから、大丈夫です」

「お前は屁理屈ばかり並べおって!」