「零ーーーー、仕事に戻らないとダメだよ」

零いっぱいに広がる。
さっきまでの不安が嘘みたいに晴れた。
今は、幸せ一杯だ。
だけどーーーー。

「ねえ、ずっと好きな子って本当?
私、零にあったことないよ?」

ずっと疑問だった。

私の記憶の中では、零にあったことはまず無い。

「そうだな、直接ちゃんと話したことは無いかな。
俺が執事になる前だからーー」


執事になる前?

それこそ、接点がない。

じゃあ、質問変えてみようかな。

「じゃあ、なんで執事になったの?」






それは普通の質問だった。





「お嬢様に、会いたかったからです。
守りたかったからーーーーっ」

大好きな姫をね、と付け加えて。