――桐島くん。




「ねえ、相談があるんだけど」

次の日。みんなにバレないように小声で耳打ちしてきたのはセイコだった。


セイコとは2限目の選択授業が一緒だったので、移動してるふりをして空き教室へと向かうことになった。


……ガラッ。

ドアを開けたのは東棟にある第三音楽室。


どうやら昔、軽音部があった時代に部室も兼ねて使っていた場所らしいけれど、今は楽器の物置になっていて授業で使用することはない。

でも何故か教室で使ってるものと同じ机や椅子が何個かあり、スライド式の黒板にも落書きが残されている。

きっとこうして授業をサボる場所として生徒たちが秘密で使ってる場所なのかもしれない。


「ごめんね。メイコまで授業サボらせることになっちゃって」

「平気だよ。それより相談って?」


セイコは慣れたように机の上に腰かけて、私は椅子へと座った。

授業をしない教室でも壁にかけられた時計はしっかりと動いていて、カチカチという音がやけに響いて聞こえる。


「実は桐島くんのことなんだけど……」

セイコが長い足を組ながら言った。