――桐島くん。




「世の中にはもっといい人がいるのに、なんでみんな桐島くんのことがいいんだろう。ねえ、どう思う?」


「……俺に聞かれても」


ワンという返事の代わりに、浮気の罰として犬になっている彼が困ったように眉を下げた。


彼にはちゃんと食事も睡眠も与えてる。奪っているのは自由だけ。彼は柱に繋がれている首輪の鎖を窮屈そうに手で触った。


「まだ俺のこと疑ってるの?もう絶対に浮気はしない。神に誓うから。俺はメイコだけだって」

……この台詞は何回目だろう。もう聞き飽きてしまった。

でも結局、私は彼を許してしまう。


浮気を繰り返すたびに『メイコだけだよ』と言ってくれること。別れようと告げると『俺はメイコに捨てられたら生きていけない』とすがってくること。

そんな私を求める瞳に快感を覚えていることは否定しない。


みんなそれぞれ裏の顔を持っている。
言わないだけで、隠してるだけで、みんな心は闇だらけ。 


「じゃあ、これはなに?」

私は彼のスマホの画面を見せた。

そこには女の子とのツーショット写真。ただのツーショットならフォルダには他にも数えきれないほどの写真があるけれど、これだけは見過ごせない。