――桐島くん。



考えてみれば、桐島くんがいなくなってから色々なことが狂ってしまった。

私たちはどこにでもいるような普通の5人グループだったのに、嫉妬したエリカにセイコは突き落とされて。エリカは罪悪感から孤独を選び、アヤは自慢の美しい顔を失った。

全部違うように見えて、全部共通してる。

それは、みんな桐島くんのことが好きだったということだ。


「今日から部活に復帰するんだね」

放課後。チエミはジャージに着替えて体育館に行く準備をしていた。

身の回りで不幸なことが続き、メンタルが強いチエミもここ数日はかなり落ち込んでいた。


「うん。チームに迷惑かけられないし、身体を動かしてるほうが気も紛れるからさ」 

「そっか。頑張ってね」

私も暗くならない内に帰ろうと、カバンを肩にかける。

すると、私をひき止めるように「メイコ」とチエミが名前を呼んだ。


「ん?」

「メイコとはずっと友達だからね!」

教室に響くチエミの大きな声。ビックリして私は思わず吹き出してしまった。


「どうしたの、急に」

「なんとなく言いたくなったから」


嫌なことや苦しいことがあっても私たちは前に進んでいかなきゃいけない。

大勢の人なんていらない。

大切な人が、大好きな人がひとりいれば、なにを失っても笑顔でいられる。


「ありがとう。チエミ」

私はにこりと微笑んで、そのまま教室を出た。