――桐島くん。



それから数日が経った。あんなことが起きたのに今日も学校は通常どおり始まる。

あのあと警察署で私たちは事情をすべて話した。アヤのメールのことや付け狙われていたこと。

そしてその人物が黒いフードを被った人だということも打ち明けた。でも、いまだに犯人は捕まっておらず、人物像さえ謎のまま。


被害を受けたアヤは一命は取り止めたものの、顔面に大ヤケドを負い心に深い傷を作ってしまった。

誰とも会いたくないと私たちのお見舞いも拒み、今日、ご両親を通じて退学届けが出されたと先生が言っていた。

身体と心の治療をしながら、人の目が気にならない小さな町へと引っ越すそうだ。


「犯人捕まってないとか本当にヤバいよね」

「ね。うちらも気を付けよう」


生徒たちはアヤを襲った犯人に怯えつつも、やっぱり口調はどこか他人事。アヤの話をしていたかと思えば、やっぱり関心は〝彼〟に変わる。


「そんなことより、桐島くんの行方のほうが気になるよね」

「なんか今度は海外での目撃情報があったらしいよ。本当にどこ行っちゃったんだろう。早く戻ってこないかな」

桐島くんの帰りを待つ女子たちが、まだこんなにもいる。