――桐島くん。



……どうしよう。廃工場で3人がバラバラになってしまった。

色々と想定していた中で、一番最悪な事態かもしれない。この状況はマズイと私はスマホを確認する。

電波は圏外だし、ライトを使っているせいか電池がみるみる減っていく。

まだ犯人もチエミもどこにいるか分からないけど、ここは一旦明るい外に出て考えたほうがいいかもしれないと、私も歩いてきた道を戻りはじめた。

――その瞬間。


「きゃあああ……っ!!」


建物に響く叫び声。


……ア、アヤ?


私は急いで声が聞こえた方向に走った。行き着いたのは【薬品倉庫】と書かれた扉の前だった。

頑丈そうな扉はわずかに開いていて、中からは啜り泣く声が聞こえる。


「……アヤ?」

私はライトを当てながら中へと入った。部屋にはずらりと棚が置かれていて、たくさんの薬瓶が並べられていた。


「ううっ……」

部屋の一番奥で座りこんでいる人影。ぺたりとしゃがみこんでいる後ろ姿は間違いなくアヤだった。


「ど、どうしたの?」

私はうなだれるように下を向いているアヤに手を伸ばす。


「……う、うう、メ、メイコ……っ」

「……っ!!」


振り向いたアヤの顔。

ライトに照らし出されたアヤは先ほどまでのアヤではなく、顔がただれたように溶けていた。


「痛い、あ、つい、たす、けて」


心臓がバクバクとうるさい。アヤの近くには薬瓶が転がっていて、そこには〝硫酸〟と記名されていた。


なにが起きたのか分からない。

でも液体がついているアヤの顔や髪の毛はどうにもならないほど痛々しい状態になっていた。