――桐島くん。



そして放課後。私たちは指定された場所へと行った。廃工場の屋根には不気味なカラスがたくさん止まっていて、建物を囲むようにして雑木林が広がっていた。

立ち入り禁止のロープをくぐり、敷地内へと入ると、膝ぐらいまでに伸びきった雑草が行く手を阻む。

だけど私たちは引き返すことはなく、やっと工場の前へとたどり着いた。


「アヤ、メールとか来てる?」

工場は外観だけ見渡してもかなり広い。呼び出した犯人が場所を細かく告げてくる可能性もあると思ったけれど……。


「ううん。なにもきてない」

メールを確認したアヤがスマホをぎゅっと胸に押し当てる。そこには風も吹いていないのになにかが揺れていた。


「……それって」

私はアヤのスマホカバーに目を向けた。

今朝は付いていなかったはずのストラップホールには可愛らしいマスコットが付いていた。


「桐島くんとおそろいなの。いつもはなくさないようにお財布に入れてるんだけど、今はこれを付けてると桐島くんが傍にいてくれてるような気持ちになるから」

アヤは本当に桐島くんのことが好きなのだろう。桐島くんを想う気持ちが表情からひしひしと伝わってきた。


「きっと桐島くんが守ってくれるよ」

チエミがにこりと笑いかける。少し高鳴っていた鼓動が落ち着いたところで、「開けるよ」と私は廃工場のドアノブを回した。