――桐島くん。



「誤魔化さないで教えて。なんでエリカがセイコのスマホを持ってるの?もしかしてセイコが階段から落ちたこととなにか関係が……」

「私はなにもしてない!!」

物静かなエリカが声を荒らげる姿を初めて見た。


「私はただ、桐島くんのことを聞きたくて……」

「え?」

「昨日、第三音楽室での会話をドアの向こうで立ち聞きしてたの。私の選択授業は騒がしい人が多くて集中できないから、気乗りしない時はあの場所でこっそり勉強の予習をしてた。だから昨日もそのつもりで向かったらすでにふたりがいて……」


まさか、エリカがドアの向こうにいたなんて全然気づかなかった。

でも説明されても色んなことが繋がらない。

たしかにセイコは桐島くんの話ばかりをしていたけれど、どうしてエリカが突っ掛かるの?

教室で桐島くんがクラスを盛り上げていても、エリカはどちらかと言うと静かにしてほしいという視線を送っていたのに。


「セイコが自分だけに連絡がきたなんて自慢気に言ってるのを聞いて許せなかったの。ましてや付き合えることを確信してるみたいに勝ち誇ってるから……」

グループの中でエリカは一番感情を表に出さない。

だからなにを考えてるか分からないことが多かったけれど、こんなに桐島くんの執着していたなんて初めて知った。