――桐島くん。



セイコはそのあと桐島くんからのメッセージを愛しそうに見つめていた。

これは私の憶測でしかないけれど、自分だけにメッセージが届いたことで、アヤに対しての優越感のようなものも感じ取れる。


ふわりと長い髪の毛を毛先でくるくると巻いていて、これはセイコがご機嫌の時にする癖。

私はこうして俯瞰的に物事を見てしまうタイプだから、行動や言動でいち早く色んなことを察してしまうことがある。

セイコのこの顔、この仕草、この口調。私の予感が当たっているのなら多分……。


「セイコって桐島くんのこと好きなの?」

「うん。超好き」

返ってきた返事に、やっぱり後ろめたさはなかった。


セイコはグループの中では一番恋愛経験も豊富で、交遊関係の広さも桐島くんと似ているから、ふたりはすごく仲がよかった。

たくさんの人たちを交えて夜遊びをしていたことは知ってるし、その距離感の近さに「ねえ、メイコ~」と、片想い中だったアヤが相談してきたことは数知れず。

それでもアヤとセイコは友達関係を続けていたし、セイコだって『桐島くんとはただの友達だから』と、笑っていたのに。


「でもセイコって、大学生の彼氏がいなかった?」

スマホを手離さないセイコは授業中でもずっと彼氏と連絡してたし、待受画面だって彼氏とのツーショットだったはず。


「ああ、少し前に別れたよ。今は桐島くんの返事待ち」

「……返事?」

「うん。私すでに桐島くんに告白したんだよね。そしたら俺もセイコのことが気になってたって言われてさ。でも、ほら。桐島くんの家ってけっこう複雑でしょ?そういうので今はバタバタしてるから落ち着いたら改めて返事をするって言われてるんだ」