【海美side】その日の放課後


「ごめん!待った?」


「ううん、今来たところだよー」






ベタなカレカノっぽい感じになってしまったが、校門前で待ち合わせて、一緒に帰るだけだ。


空は、スクールバスを待っている列に紛れて私を待っていたが、背がまだ低いので埋もれていた。





「じゃあ、帰ろっか」

「うんっ」




呼びかけると、笑顔で返事をしてトコトコとついてくる。


ーーーほんとに、可愛すぎてツラい。







「あ、そうだ。今日は焼き菓子の消費期限近いやつを入れ替えるってお母さんが言ってたから、うちにくる?」



なんて甘い誘いなのだろう…!

小さい頃から、空の家のお店の余ったケーキや消費期限の近い焼き菓子を貰っているのだ。





「もちろん行く!ほんと、空のとこのフィナンシェは美味しいんだよね〜!

あ、もちろんケーキもだけど、タルトもいいね、あ!パウンドケーキも!」





ついお菓子について熱く語ってしまったので、空が隣でくすくすと笑い始めた。


「ふふっ、うみちゃん、そんなに食べたら晩ごはん入らなくなるよー?」



(ここで「太るよ」って言わないあたり、優しくて天使だな。)









「それとこれとは別腹なの!」