「うみちゃん、僕、汗臭いから…」

「え?大丈夫、空はいつもいい匂いだよ!」



(そういうことじゃないんだけど〜もう、うみちゃんてば…><)


「うみちゃん、空くん困ってるから離してやんなよ…」



呆れ顔で制止するのは、うみちゃんといつも一緒にいる女の子。


「え、あ、うん。ごめんね、空?」


「大丈夫ー。じゃあねー」


微笑みながら手を振り、教室へ向かうと、友達がたくさん寄ってきた。




「なぁ、さっきの3年の人、誰?」


「うみちゃんのこと?幼なじみだよー」



今クラスには、着替えている男子しかいない。それをいい事に、女子の前では言えないような下ネタが飛び交っている。



「俺さっき見たんだけど、こいつ、その先輩に抱きつかれてたんだぞ?」


「は?まじで!?やば、羨ましいわー」



(羨ましい?何を言ってるんだろう)



「ここだけの話、あの先輩とどこまで進んでんの?」


「……え?」


「お前も男だろ?ちょっとは考えたことねーのか、そーゆー事。」





きっと、彼らの言う「そーゆー事」とはつまり、そういう事だろう。(つまりになってない)



僕自身、そういうのに興味がない訳では無い。子供がどうやってできるのかも知ってる。


……正直、うみちゃんが初めての妄想の相手でもある。





でも、実際に手を出そうとは思わない。やっぱり、同意の上ですることだと思うし、責任が取れるような年齢になってから考えるべきだと思うのだ。




何よりもうみちゃんには、ずっと笑っていてほしい。

たとえ隣に立って守るのが僕じゃなかったとしても。






「……そろそろ、女子が戻ってくるんじゃない?早く着替えなよー」


「うわ、こいつ、話を逸らしやがった!」