ーーーあの時の事を思い出すと、また胸が苦しくなる。

側にいるのに、想いを伝えられない。

つがいなのに、触れられない。




フッと笑って、海美に渡されたパウンドケーキを一口で食べた。

「空?何笑ってんの……」

少し引いた顔をされてしまった。


「あんへほあいほ(なんでもないよ)」





それにしても、クローゼットの中を見られなくて良かった。…………本当に幻滅されかねない。

あと少し。あと少しで振り向いてもらえそうな…………いや、ないな。頑張ろう。