部屋の外で待っていると、中からガサゴソと音が聞こえる。


(……そんなに散らかってたのかな…?)







しばらくすると、空がドアからひょこっと顔を出した。



「ごめんね、お待たせー」





ギィ、と大きくドアが開かれ、空に招き入れられる。

「し、失礼しまーす……」








空の部屋は、元々片付ける必要が無いのではないか、というくらいに物が少なくて、スッキリしている。


部屋に入って正面奥には窓があって、その向こうに私の部屋が見える。

小さい頃は……いや、今も時々窓越しにお喋りしたりしている。




部屋の中央に置かれた楕円形のローテーブルには、カゴに入った数種類のお菓子が並んでいた。



「やった、いっぱいある!空、何個貰っていい?」



「食べられる分は持っていっていいよー」


「え、そんなこと言ったら、全部持ってっちゃうよ?」


「うみちゃん、それは流石に食べ過ぎだよ……」




空は呆れたような声を出しながらも、ニコニコという表現が当てはまるような笑顔を浮かべている。



「ねぇ、今1個食べてもいい?」


「しょうがないなぁ…それで晩ごはんも食べられるんだから、うみちゃんの胃袋はすごいねぇ」



「それは褒めてるのよね?ほら、空も一緒に食べよ!」




問答無用で空をベッドに座らせ、カゴの中からフィナンシェとパウンドケーキを取り出し、空の隣に腰を下ろした。