悪斗くんとふたりきりになると、急にふたりとも話さなくなった。

でも手は繋いでる。


「この時期になるとさ、冬がくるの、待てないんだよね」

「まだ9月の下旬なのに?」

「うん。朝とか夜、寒いと冬を感じちゃってセーターとかモコモコした冬服買っちゃう」


あたしが適当に言ったことに、悪斗くんは面白そうに聞いてくれた。


「去年の冬思い出しちゃって。何の服着たっけとか、寒いってこんな感じだったなって」



空をみると、明るい感じの曇りで。


綺麗な空に、冬が来たなーって。
まだ10月も終わってないのに。


でも10月はすぐに過ぎるんだ。




だって、定期テストだってあるし文化祭だってある。

終わったと思ったら、11月が来る。



本格的に寒くなる。

雪が降る。


辺り一面真っ白で、ワクワクする。




冬がくると切なくなるけど、ワクワクする。

寒いと、何かがあるたびに容赦なく泣ける。


なんか操られてるみたいに素直になって、自分に正直になれる。




春夏秋冬ある中で、冬の空ほど綺麗な空をあたしは知らない。