「朱里ちゃんは狐なのかー、ふむ」
「兄さん、セクハラ」
「なんも言ってないよ!? ただもふりたいなぁー、とか思ってただけで! 撫で回してうへへーとか!」
「朔夜さん、セクハラです」
「朱里ちゃん!」
「兄さん、帰って」
「いいだろう、また明日来るからなぁ!」
ノリがいいのか、うざいのか、いや、うるさいだけである。
朔夜さんは大声でばいばいと叫びながら戸を勢いく閉めて帰っていった。
「あの兄貴は人の家を壊すつもりかな?」
「元気なお兄さんだね、退屈しなさそう」
「あれで頼りがいがあるから嫌だよね」
「いいな、私一人っ子だったから」
「まぁ、楽しいけどね」
なんやかんやいってても、蒼兎もお兄さんの事が好きらしい。
「朱里、余計なこと考えない」
「エスパーだよね、蒼兎って」
「朱里が顔に出やすいだけ」
そこまでかな、と頬を自分でむにむにしてみる。
それを見た蒼兎が吹き出して腹を抱えていた。
「失礼な!」

