「こんにちは……」




恐る恐る戸を開けて顔を出してみる。




「……」




そこには目をまん丸く見開いて口をぽかんと開けている蒼兎のお兄さんらしき人物。




兄弟なんだな、という風に銀髪で、瞳は紫だった。




「可愛い女の子ーーー!?」




「兄さん、しばくよ」




「蒼兎!?」




「冷たい弟だぜ!」




蒼兎に冷たく返されても罵倒されても中々めげないお兄さん。




「名前何て言うんだい?」




「朱里です」




「朱里ちゃんかー! いいな!」




「兄さん、黙って」




「お? なんだ、兄さんに嫉妬かー?」




にやにやしながら蒼兎をつついている。




すると、蒼兎から綺麗なチョップをくらう。




「ぐはっ! そんな乱暴な子に育てた覚えはないぞ!」




「そうだね、僕も兄さんに育てられた覚えはないよ」