【朱里side】
腹が立って仕方がない。
朔夜さんは私をからかってるの?
少しでも信じて期待した私が馬鹿だった。
「なんでお風呂まで一緒なの……」
そっくりだと思い出してしまう。
私は蒼兎の事が……。
「蒼兎が……?」
蒼兎が、何だろう。
助けて貰って、すごく感謝していて。
その恩を返したくて、その一心で。
「もう、あがろう」
変化は解かずに人のままでいることにした。
「あと、は」
棚を軽く整理してから風呂場からでようとする。
すると、急に背後から抱きつかれる。
「朔夜……さん?」
この匂いは朔夜さんだ。
「また私の事からかうんですか?」
「ちょっと、だけね」
「っ!?」
ぞわっとした。嫌なのかは分からない。
けれど首筋を舌が這っていく。
チクリ、なにか鋭い痛みがした。
「あの……」
声がいつもより低くなる。

