「まぁ、お前がそういうなら構わない」
「ありがとう、兄さん」
「ところで、朱里ちゃんは? もう起きても……」
バァン!
「おはようございます! お菓子どうぞ」
「うわぁ!?」
「朱里ちゃん、ワイルドだね……」
朔夜さんの前にあらかじめ作っておいたお菓子を並べる。
「手作り? いいねー!」
パクパクと美味しそうに一気に食べていく。
「兄さん、少しは味わって」
「味わってるよ? とっても美味しいからさ!」
「朔夜さん、出禁です」
「ごめんね!?」
今度はじっくりと食べ始める。
「それはそうと、朔夜さん。今日は何の用で?」
「ん? あぁ、町にでてみないか?」
真剣な目で私の答えをまつ朔夜さん。
「私が、町に……?」
「悪くないと思うよ。それに変化上手だし人間にもバレないでしょ」
ヘラヘラしながら何か紙切れをとりだす。
そこには何か買い物のメモが書いてあった。
「なんですか? それ」
「朱里ちゃんに着物とかんざしをあげたくてね」
「えぇ!? いいですよ、そんなの」
「蒼兎の提案」
「そうなの? 蒼兎」
顔を覗きこむと、そっぽをむいてしまった。

