きみにもう一度とどけたい、この声を


家族で話し合えっていったって、親なんか絶対「声より命だ」って言うに決まってる。

今、先生がいるところでだってああだったのに、家に帰ったら両親と私じゃ権力でも多数決でも負け確定だよ。会計待ちでロビーにいる間、私は母親と一言も会話しなかった。

「どこいくのっ」

長椅子から立ち上がった私に母親が小さな声で、だけどヒステリックに言葉を投げた。

「自販機。喉乾いたから」
「そ、そう」

目を合わせないでそう告げて、私はロビーの少し先にある飲食ホールへと向かった。