きみにもう一度とどけたい、この声を


「がんだなんて……いきなり本人の前で言うことなんですか? それに、ちゃんとした検査だってまだ……!」


母親がヒステリックな裏返った声で叫んだ。
看護師さんが側にきて、なだめるように母親の肩を支える。


「がんじゃないかもしれないんですよね? ポリープとか! まだ可能性ありますよね?」
「ゼロではありませんが……経験上ポリープに見えるがんはあってもがんに見えるポリープはあまりないんですよ。まあもう少し詳しい検査もしますから」
「娘はまだ中学生なんです! 急にがんだなんて言われたって……そんな……」


パニックになる母親を見ていたら、なんだかこっちは逆に冷めてしまった気がした。