きみにもう一度とどけたい、この声を



「遥ちゃん、今日はこのへんにしようか」
「大丈夫です。歌えますから」
「無理しなくて大丈夫だよ、どんなにコンディション気を遣ったってプロでも調子悪い時はあるんだから」
「……すみません」
「いいっていいって。ちゃんと病院行って、治ったらまたレッスンだよ!」
「はいっ!」


あの日、何度せきばらいしてもいつもの声が出なくて、ボイストレーニングの倉田先生にお休みをもらって、病院へ行ったのが始まりだった。