結局、熊の木彫りを見つけた私は大学の前まで来ていた。
だ、大丈夫だよね?
熊の木彫りを持ったし…もう莉斗と会わないよね!?
ビクビクしながら熊の木彫りを握りしめ、覚悟を決めて大学の中に入った。
よし、いつも通りだ!
いつも通りすぎて安心する。
人が多い中庭!
カップルがイチャイチャする屋上!
昨日のカツラ教授がこっちに向かって走ってくる光景!
って、…ん?………昨日のカツラ教授が…、こっちに向かって走って…くるっ!?
私のすこし前方で「七瀬〜!!」と、叫びながら廊下を走る昨日のカツラ教授。
げっ、七瀬って私だよね?
七瀬 結愛(ななせ ゆあ)のことを呼ん…、
「七瀬結愛ー!!」
ご丁寧にフルネームで呼んできた教授に思わず苦笑いをこぼす。
フルネームで呼んでくれたおかげで、私を呼んでるのがわかった私は、クルッとUターンしてカツラ教授から逃げ出した。
「逃げるなー!七瀬!!あと、廊下は走るなっー!」
私の後ろで叫んでるカツラ教授に向かって反論する。

