「リーナ!」

「あら、千聖じゃない」

合宿2日目が終わり

あたしは例のごとく、リーナに聞きこみ調査を開始した

春、零、翔太、そしてあたしの中で初めて会ったのはあたし

でもそれより前に、リーナは美愛のことをしってるみたいだった

なら、情報を収集するならリーナしかない

それに、あの時───美愛が倒れた時───に、それほど慌てもせず、ただ心配そうな声だけをかけていたリーナは、必ず事情を知ってる

よし、問い詰めよう!

「あれ?美愛は?」

「美愛ならダブルスの作戦を練るからって離れたところに行ったわよ」

「そっかー」

ここは草原の中で人は沢山いる

しかも対戦する水属性のペア───春たちのペアも

念には念を入れて、違うところに行くのは当たり前だよね

で、それについていかなかったと

ラッキー

あたしは即座に魔法を使う

「我が魔力に呼応せよ。風よ、刻みを止めよ」

その瞬間、周りの風という風、空気という空気が停止した

これは、音を封じる魔法

あ、ちゃんと呼吸できるよ?音を止めるだけであって、呼吸に支障はない

風の精霊じゃないと分からない魔力感知

「・・・・・・美愛に何か用があったの?」

魔法には気づいていない様子で、リーナはふわふわと浮遊しながらあたしに問う

よっしゃ、気づかれてないっ!

喜び(?)を噛み締めながら、平静を装って返す

「ううん?あたしはリーナに用があるんだ!」

「私に・・・・・・?何かしら」

聞きやすいように、リーナはあたしの顔と同じ高さまで降りてきた