彼女は消えた

ほんの2週間、俺はあいつと出会って触れ合い、好きになった

それが恋心かはわからない

友達としてなのか、ライバルとしてなのか

「零」

「なんだ」

「俺達は・・・・・・美杏に助けられたんだよな」

「ああ、そうだろ」

あいつの魔法がなければ俺達の命は無かった

美杏が行使した魔法それは、世界を操る魔法

彼女の意思がそのまま反映されるため、俺達の治癒も、魔物の消滅も、一斉に行われた

だが、彼女は助からない

俺たちの命の恩人は・・・・・・助からない

「感謝しないとな、美杏に貰ったこの命が尽きるまで」

「ああ・・・・・・美杏には、迷惑をかけたしな」

この戦いの不幸中の幸いと言うべきか

邪神と神が合一し、それを美杏が倒した

そのため、世界は以前に比べて平和になった

邪神が消えたがために、魔物はおろか闇精霊であるミィザーもいなくなった

どうやら、ミィザーも邪神の配下の一員だったらしい

「くくくっ・・・・・・」

そんなことを思っていると、隣で突然翔太が吹き出した

「あ?どうした」

「なぁ零・・・・・・お前、美杏のこと多少は好きだったろ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「沈黙は肯定だぜ?」

「知らね」

「くくくっ・・・・・・いいこと教えてやろうか?」

「んだよ、さっさといえ」

「実はな────────」

そして俺は────果たして美杏がどう思いながらそうしたのかは定かじゃないが────あの事件の事実を知る

「お前があの女子にキスされた時・・・・・・美杏は魔法使ってたんだ。それは多分、零の唇にコーティングしたんだと思うぜ」

〜零 side end〜