「ええ、あるわ。これなら、少なくとも美杏は救われる」

「ど、どれ?なんなの?」

期待を込めた目で、リーナに視線が注がれる

誰もが思っている

美杏を、死なせては行けないと

でも、リーナの口から出てきたのは

とても、最善策とはいえない提案だった

「私にも流れてるわ・・・・・・精霊女王の、魔力」

『え?』

全員の声が固まる

リーナは、一度息を吸い、もう一度告げる

「流れてるのよ、私にも。先代から受け継いだ、魔力が」

「ちょ、ちょっとまて。それじゃあ・・・・・・リーナが、犠牲になるんだよな?」

「ええ、そうね」

重々しく頷くリーナ

やっぱり、犠牲は免れないの?

「魔導師よ」

「は、はい」

「頼みがある・・・・・・これは、君たちにしか頼めない。我々は今から、一刻も早く神界の浄化を進め、残った神の救出にあたる。だから、君たちの増援には向かえないだろう」

「・・・・・・はい」

「だか、これだけは言っておく。美杏を守ってくれ」

「─────っ」

澄んだ瞳で、しっかりと見つめられた

こくこくと私は頷く

満足げに目元を緩め、そして、すこし声量を落として、話しかけてくる

「君たちに私の神力を与えよう。少なくとも今まで消費しただけの魔力は補えるはずだ」

「ありがとう、ございます」

「いや、いいのだよ。そして最後に一つ。美杏でなくても、犠牲魔法は使えるが、真の力を引き出せるのは現精霊女王のみだ。そしてこの魔法を使ったあとは、全て美杏の思い通りに事が進むだろう・・・・・・しっかりと、見ておいてくれ」