「ここから出て、魔法界に行こう、リーナ」

「ちょ、ちょっと待ちなさい。美杏がここにいることがお役目なのよ?」

「それはお母様から聞いた。でも、なんでそれがお役目なんだよ。あたしがここにいようといまいと、変わんねぇだろ」

王座からぴょいっとおりて、ヒールの音を鳴らしながら歩を進める美杏

慌てて、リーナは何かをごにょごにょと呟いた

その瞬間、リーナは光に包まれ、光が晴れた頃に、リーナは見かけが高校生くらいの女性に成長していた

「美杏、待って」

リーナの声を無視して、美杏は歩いていく

「美杏っ」

やむを得ず、リーナは魔法を使った

「リーナ・・・・・・確かにあたしに向かってリーナが魔法を出すことを許可したのはあたしだが・・・・・」

振り返って、きっとリーナを睨む

「今、使っていいとは言っていない」

ライトブルーの瞳が、一層強く輝いた

その刹那────

「はうっ」

リーナは王座の壁に体を打ち付けられ、意識を失った



全ての精霊を統べる女王、美杏の属性は無論全て

属性は、炎、水、風、大地の四つ

リーナは水属性に属し、なかでも高位精霊と格の高い精霊だ

しかし、その上にいるのが、女王美杏

精霊とは、魔法使いが魔法を使う時にに介する、魔力の塊だ

魔力は魔法を使うごとに、魔法に応じた魔力分だけ削られる

その魔力を精霊に送り、その精霊が魔力を送った主───契約者のイメージ、呪文を即座に現実にする

それが、精霊の役割であり、存在意義だ