どういうことだ?

わけがわからねぇ

「助かりたいなら、一刻も早くこの世界から出ろ」

さらに不可解な言葉を並べる美杏に、俺は首を傾げる

「どういうことだよ」

「・・・・・・じきに魔法界を巻き込む、戦いが起きるかもしれねぇ」

「なんだと?!」

平和とは言えない美杏の言葉に、俺は叫んだ

おいおいおい・・・・・・ただ事じゃねぇだろそれ!

「なんだよ、詳しく教えろ!」

「それは無理だ。これはあたしが引き起こしたんだからな・・・・・・」

後半がよく聞き取れず怪訝そうな顔で見る俺に、くすっと笑いかけた

「んな顔するなよ。それより、もう今日は戻れ。何をしに来たか知らねぇけどな」

「お前はどうすんだよ?ここで過ごす気か?」

「ああ。あたしはどうにかなる。だから気にするな」

「いや、だが」

さすがに年頃の女子をここに置いておくわけにはいかねぇ

だからといって連れて帰れば、千聖たちの不信を買うだけでなく、翔太からなにか言われるのは丸わかりだ

不可抗力、だな

「今日は帰る。だがなにかあればすぐ言えよ?」

「そりゃどうも」

適当な返事を返され、美杏は机に積み上げられた本の片付けを始めた

手伝おうと近づくと、「いいから帰れ」と突き放される

これ以上いても無駄だと判断し、俺は立ち去った

変わりなさそうで、良かった

俺のことを軽蔑していなかった

本人の了承もなく水鏡で占うのはプライバシーの侵害だとか、言われずにすんだ

本当は、美杏の近くにいてぇ

あいつは、俺の傍においておきたい

でも、その願いは叶わねぇんだろうな・・・・・・

〜零 side end〜