「なんでだよ・・・・・・」

学校まで走って、中庭のベンチに腰掛けた

なんでだ?

あたしは別に、害を為したりするつもりはなかった

なのに・・・・・・なぜ

「ちっ・・・・・・なんで、こんな目に会うんだよっ」

でてくるのは、そんな言葉ばかり

もう、3日というタイムリミットはない

すぐに帰らねばならない

「リーナが帰ってきたら・・・・・・戻ろう」

そう呟いた時

「・・・・・・・そこにいるのは、美愛さんですか」

「?」

優しく、柔らかな声が聞こえた

女性の声だ・・・・・・だが、こんな温和な声は同級生にはいない

誰だろう・・・・・・そう思い、さっと振り返ると

意外な人物がいた

「理事長・・・・・・」

「どうしたんですか?美愛さん。今日は合宿の最終日と聞いていますが」

千聖と同じ、痛みのない艶やかな黒髪で、50代前半と見受けられる女性

それがこの学校の理事長

「特に何も・・・・・・」

「いいえ、何かありましたね」

あたしの否定の言葉を遮るように、鋭い視線を向けて言った

あたしの座るベンチに近づき、横に腰かける

意外な行動に驚いていると、理事長は静かに口を開いた

「千聖と、喧嘩でも?」

「はぁ・・・・・・そんなところです」

「それはごめんなさいね。あの子がまた何かしたんでしょう?」

「いえ、あたしが悪いんです」

「・・・・・・美愛さん。私が口を挟むのもなんだと思うけれど。もしかしたらあなた、スピリットじゃなくて?」