「はぁ・・・・・・」

王座の間に、大きなため息が響いた

その部屋には、王座に座る女王一人しかおらず、寂しげな雰囲気が漂っていた

「誰もこねーじゃん」

頬杖をついて、つまらなさそうに口をとがらせる、美しい少女がいた

純白に輝くロングストレートの艶やかな髪

雪のように真っ白で、日焼けを知らないような肌

澄み切ったライトブルーの瞳は、強い意志を感じ

薄ピンクで比較的飾りっけの少ない清楚な膝上ドレスを身にまとっていた

「女王様」

突如、彼女のそばに現れた、3等身の小さな精霊

腰まである長い水色の髪をそのまま下げ、髪色より少し薄いシンプルなワンピースを着ていた

「リーナ、その呼び方はやめろって言ってるだろ」

「でも、美杏は私たちを統べる、精霊女王様でしょう?」

ふわふわと浮遊しながら、小さな手で彼女────美杏の頬をつついた

「そりゃそうだけど・・・・・・これはお母様から受け継いだものだ。飽くまでも」

不機嫌そうな顔でそう返す美杏

「暇だ・・・・・・客人はリーナ以外に来ねぇし、ずっとこの王座に座ったままでいいのかよ」

「それがお役目でしょ?仕方ないわよ」

宥めるようにリーナが言うが、相変わらず不機嫌そうな美杏

その時

「・・・・・・ここから出たい」

ぽつりと、美杏は呟いた

その言葉を聞いて、はっとしたように慌てるリーナ

今まで、これを心の中で思っていたが、口にこそ出さなかった美杏

それを知っていたから、リーナは余計美杏を哀れんでいたのだが

その禁忌の言葉を、美杏は口にしてしまった