終わる直前 君に恋する

「お母さん…仕事に行くから、家の事宜しくね?」
「うん……」

幼い頃からずっと一人。
兄弟もいないし…家の近くに友達もいない。

留守番なんてしょっちゅうのコト。
帰ってくるのは、いつも夜中。
まぁ…女手一つで私を育ててくれたから…何も言えないけど。

それより私には、今から…誰も居ない時間が幸せだった

誰にも邪魔されず…『夢』が見られるということ。


「じゃあ…行ってらっしゃい…」
「ごめんね……宜しくね?」

そう言って母は仕事に行った。
静まり返った家の中で玄関の取り扉が閉まる音だけが
響いていた。
玄関で母を見送った後…私は一人で少しの間リビングで
過ごした。

小学生の朝読の為に母に買ってもらった…純愛モノの
小説を読み返した。
こういうのは自分には合わない気がした。
母が『星光輝にはもう少し恋愛というモノを知りなさい』と無理にススメられた本だった。
その本を読んでもう夜の9時ぐらいになっていた。
好きでもない本を休憩混じりで読んでいたせいかも
しれない。