最後には二人とも声を潜める事なく会話しながら出て行ったのを、光希は呆然としたまま見送った。

初めて知った岡澤の家族の話について考えるべきなのに、衝撃的過ぎたからか、「あの二人、友達っていうより藤末さんとその取り巻きって感じだな」とか「藤末さんは自分に自信があるんだな」なんてどうでもいい事にしか頭が働かない。

ぼんやりとしたまとまらない頭で必死に考えて、やっと見つけた答えは

「ーーーとりあえず、ファイル整理しなきゃ」

が精一杯。

岡澤の秘密について真っ正面から考えるのを避けるように、のろのろとした動きで仕事を再開した。