光希にとって自分の好きな人達から気遣われる事は、不思議と自分の肯定にも繋がる。
こんなにしてもらっているのだから、と踏ん張れる。

だから相変わらず頭はぼんやりとしたままだけど、なんとか午前中の業務をこなすことは出来た。

「どう、冴島ちゃん。お昼行けそう?」

でも流石に食欲までは湧いて来ない。

「すいません。やっぱり、ちょっと……。今日はやめておきます」

「そっか。全然ダメ?」

「いえ。何か甘いものでも買ってきて食べます」

静香さんに気にせずランチに行って欲しいと伝えて、光希も財布を持つ。コンビニで買い物すると告げると、静香さんもやっとほっとした表情になって出掛けていった。

とは言え食欲はない。財布を持ったのも勿論、静香さんを安心させる為だけだ。