するとすぐに電話がかかって来た。

『おはよう。体調、ホントに大丈夫?』

「うん、大丈夫。だからちゃんと仕事にも行けるよ」

『そっか。光希ならそう言うとは思ってたけどね』

岡澤の柔らかくて少しの寂しさが混じった笑みが頭に浮かぶ。光希が強がって上手く甘えられない時に向けられる表情だ。
「仕方ないな」って、でも「側にいるよ」って伝えてくれる表情。

「保冷剤のお陰で瞼もあんまり腫れてないし。きっとメイクしたら誰も気付かないよ」

『そうかな?気付く人はきっといるよ。それに……俺は知ってるから』

無理はしなくていいよって気遣う想いがひしひしと伝わって、また泣いてしまいそうな予感に光希は話題を変えた。

「あ、じゃあ、そろそろ切るね。バッチリメイクもしなきゃだし」