驚いて目を開けると、至近距離に彼がいて、私の心臓がものすごい速さで動きだした。


どうしたんだろう……、川島くん。


「……よし、取れた」


彼は私の頭の上に乗せていた手を退かすと、すぐに私の目の前に白い糸を見せてきた。


「これ、ついてたよ」


そう言って、ニカッと笑って。


……あれ?さっきのこと、気にしてないの?


そんな私の疑問に気づいているのか、いないのか、彼は微笑んだまま私に言う。


「そろそろ、チャイム鳴るよ?早く席に着きなよ」


まるで何事もなかったかのように。


私は戸惑いながらも頷くと、彼の隣の席にそっと腰かけた。