わたしは津田さんに、話があって近い内に時間を取って欲しいとラインでお願いをした。
 24日を空けておけ、と返信があって、祝日の振り替え休日になっていたイヴに会うことになった。


 待ち合わせは午前11時に駅のロータリー。生憎と朝から雲に覆われた冬空。雨や雪の予報は出ていないものの、恋人達にとってはせっかくのクリスマスは、ちょっと残念なお天気かもしれない。

 グレーのラメニットに黒のキャミソールワンピースを合わせ、髪は緩くウェーブしているのをワックスで軽く全体をまとめるだけにする。ショートブーツを履き、キャメル色のチェスターコートを羽織って家を出た。

 ナオは土曜日から外泊で、もしかしたらクリスマスプレゼントは彼女へのプロポーズかも。・・・だったら嬉しいなぁ。ナオには愛する人と結ばれてシアワセになって欲しい。心から。


 時間にはまだ早いと思ったのに、駅に着くと見覚えのあるブルーのステーションワゴンがハザードを点滅させて、タクシー乗り場の手前で停まっていた。助手席側の窓を外からノックしてドアを開け、遠慮がちに乗り込む。

「おはようございます。・・・すみません、お休みなのに」

「別に」

 こっちを向く彼は会社で見る時みたいなスーツ姿だったから、仕事だったのかと目を瞬かせた。

「津田さん、もしかして予定があったんじゃ・・・?」

「あったら来ない」

 ぶっきらぼうに言われ、わたしがシートベルトをしたかしない内にウインカーを右に出し車を発進させる。

「・・・話は昼飯食いながらでも、いいだろ」

「あ・・・はい」

 大概いつもこんな風に津田さんのペースになる。わたしの話を取り合ってもらえるかは分からない。冷たくあしらわれてお終いかも知れない。
 それでも何もしないで,ただ泣いて終わるよりは。亮ちゃんを愛したことを誇れるはずだから。