欲望は自分自身を狂わせる

教室に入った時の空気は最悪だった。
皆は、あの時と同じように……私のことを冷たく見ていた。

「キッモ」

机の上に座って私を睨む……一人の女子がいた。
彼女は…よく私と一緒にいた…「初春・沙矢音」

小学の頃から一緒で…いじめっ子で、気の強い女子だ。
自分が正しいと言い張るそんな子。
強い子を見方につけては…弱い子をいじめる。
この世で言えば……クソな人間だ。

「こっちに近づかないでよね~?
 バケモノが移るから~」クスクス

睨みつけながら笑う。
それに…高笑いで。
下を見下す目だ。

「アハハハハ」

それに続いて皆が笑う。
大袈裟に笑う子もいれば……影でクスクス笑う子もいた
私を見ながら。
私はその場に立っていることしか出来なかった。

「邪魔」

沙矢音は私を突き飛ばした。
哀れだ…とでも言うように……。

「痛った…」
「ごめんね~?でもさ…。バケモノはバケモノらしく… 人間の面しないでくれる?」

今までの沙矢音は何処にもいない。
優しく笑う顔も…。
美しく輝く瞳も…。

まるで……今までのは…演技だったみたいに…。