11時50分。

社長特権で、お店が混む前にランチに出た。

女子社員に人気のイタリアンレストラン。

「社長は、ここには、よくいらっしゃる
んですか?」

のどかが聞いた。

「いや。
今日は、男の目が少ない所に行きたかった
から。」

本人は気付いてるのかどうか分からないが、色気ダダ漏れののどかを男の目に触れさせたくない。

「のどかは何食べる?」

「社長。ここは、社長室ではありません。
他者の目もありますので、『佐倉』とお呼び
ください。」

はぁ………

「佐倉さん、何食べる?」

「ふふっ
社長、お願いを聞いてくださって、ありがとう
ございます。
私はラザニアを食べたいですが、社長は
いかがなさいますか?」

なんでのどかは余裕の笑みを浮かべてるんだ?

俺はのどかの事でいっぱいいっぱいなのに。

「じゃあ、俺は、アラビアータと
マルゲリータ。」

「かしこまりました。」

と、のどかがオーダーしようとする。

「昼休みは、秘書の佐倉さんじゃなくて、俺の
大切なのどかだから、そういう事しなくて
いいよ。」

こういう事は、男の仕事。

俺は、店員を呼んで2人分のオーダーをした。