「えーっと、めんどくせぇから簡単にすませる。
今から転校生を紹介する。お前ら騒ぐなよー」


騒ぐなって逆効果だろうが。

案の定ざわざわと騒がしくなり始めた教室内。

兄貴の『入ってこい』と言う一言でガラガラ、と教室の扉が開かれた。


転校生の姿を目にした時、その場の生徒全員が息を呑んだ。

もちろん俺も。


登場した美しい少女に目が奪われていた。



「深澤 雪菜(フカザワ ユキナ)です。よろしくね?」


明らかに日本人ではないであろうキラキラと美しくなびく金髪を纏わせニッコリと笑うまるで人形のような顔つきの整った少女はなんの躊躇もなく短く自己紹介を済ませた。


驚きのあまりシーン、と静まりかえった教室内を面倒くさそうに見渡す兄貴と目が合った。


「んじゃ、深澤は亮太の隣が空いてるからあそこな」


こちらを指さす兄貴の指を追ってこちらを見構えた少女とバチッ、と目が合った。



正直、息が止まると思った。

それと同時にふと周りから聞こえた俺の隣かよ、なんて言うような視線に、めんどくさいとも思ったのだった。



「よろしくね?...えっと、亮太くん!」