そんな事を考えていると、三咲はご機嫌ななめな様で。

しかし、彼女にダンスに身が入らない理由を話す訳にもいかず。

紗奈が悪魔だと言っても信じて貰えないだろうし。

結局あの後、紗奈は翼を広げて飛んでいってしまったらしい。

忠史には居場所が分かるらしいが俺には人間だから分からない。

「透君っ、もっとそこは早くっ」

「はいっ」

いけない、いけない。

今はダンスの練習中だ。

他の事を考えないようにしなければ。

しかし、タオルで汗を拭いながらも紗奈の事が頭から消える事はない。