「紗奈、目が赤いんだけど。お前が泣かせたの?」

そう言って透君は私の瞳の涙を指で拭う。

一瞬それを見ていた忠史が寂しそうな顔をした様に見えたがきっと気のせいだ。

そう自分に言い聞かせる。

「それがどうしたんだよ?」


忠史は唇に薄笑いを浮かべながら言う。

魔界での数少ない味方だった忠史。

「お前、紗奈の家族なんじゃないのか?」

「へぇ…そこまで紗奈はアンタに話してるんだ」

チラッとこちらを忠史が見る。

その一瞬からは彼が何を考えてるか分からなかった。

「紗奈が悪魔だと知っても離れない何てアンタ、紗奈の事が好きなんじゃねえの?」

「………っ!!!」

ああ、やっぱりそうなんだ。

忠史にとって私はただのお世話になった家族の娘ってだけなんだ。

だから、いつも守ってくれて出てったらもう私と居る意味もないんだね…。

「………ううっ…うわーん…」

私は泣きながらその場から去った。