その時

 「紗奈っ」

透君が私の名前を呼ぶ。

必死に私を探す彼の声。

「……人間。。そうか、あれが紗奈が言ってた羽根が見える人間かぁ」


勘の良い忠史は直ぐに透君の事に気づく。

そしてハッとした様に思い出す。

「テレビとか出てる……!!?」

透君が私達を見つけたのか髪の毛を雨で濡らして走ってくる。

「そうだけど…」

今まで見た事ないほど冷たい目で忠史を見る透君。

しかし、忠史の方はそれを気にしてないようでケロッとしていた。

昔から冷たい冷ややかな目で見られるのを慣れてるのだ。