～甘い香りに誘われて～三度目の涙

ー朝ー

ベッドから起き上がって、カーテンを開ける。
太陽の日差しを体に浴びせ、大きく背伸びをする。

制服に着替えて、髪を整えて、鞄を持って一階に下りる。
父は先に朝ご飯を食べていた。
新聞を読みながら。

私は、父に…

「おはよう…。」

そう小さい声で言った。
父は相変わらず…私に冷たい。
珈琲を飲んで父は、席を立った。

「もう、行くの？」

母は父に問う。

「ああ。」

父は母の問いにそれだけ答えた。
父は振り返って…私に言った。

「もうすぐ…テストだな。
　どういう意味か分かるな？」

冷たい目で私に訴える。
父は高得点しか気に入らない。
私に90点以下は許されない。

「うん…。」

私は一言だけで済ました。
私の長話なんて…無断だから。

学校からの通知表は必ず父に見せなくちゃいけなかった
全てオールAで…数字も…４以下はあってはならない。
そのお陰で…私は学校の優等生として扱われている。
テストでも、ほぼ満点に近い点数で…
毎回の成績も…。

そんな生活を続けていたせいか…私は表情を失いつつあった。
どうやって笑えばいいか…。
どうやって泣いたらいいか…。
分からなくなっていた。