~甘い香りに誘われて~三度目の涙

「早いな。」
「ねぇ…お父さん!ちょっと…いい?」
「忙しいんだ。」
「聞いてあげましょ…あなた?」

私に…勇気…。
そんなのあるかわかんない…。
でも、決めたんだ!
打ち明けるって…。

「私…医者になんて…なりたくない!…。
 私は…パティシエールになりたいの!」
「何をバカなコトを言っている。」
「お願い!」
「ダメだ。」

分かってる…このコトを言われることぐらい。
父はそういう人だから…。

「これを…食べてほしいの…。」
「まぁ!美味しそう…これ、舞唯華が作ったの!?」
「うん…まぁ…。」

父はケーキを見つめていた。
厳つい顔で…。
母は、美味しそうに苺タルトを食べてくれている。
問題は…父なのに…。

「くだらない…。」

父はケーキののった皿を机から落とした。

     ガシャンッ

「!」

父はわざと皿を落としてその場を立ち去ろうとした。

「ひ…ひどいよ…。いくら何でも…こんなこと…。」
「バカなコトをするから、こうなるんだ。
 お前が、パティシエールだと?
 嘘もほどほどにしてくれ。」


私はその場に立ち尽くした。
絶望した…まさかここまでして…私の夢を壊そうとする
なんて…。

結局私の夢なんて…ただの願望に過ぎなかった。
病院の一家の一人娘として産まれ…この日にいたるまで
私は父の人形…。
やりたいコトも…何も…許されなくて…。
成績をいつもトップで保って…言いつけを守って来た…
なのに…。
こんなことぐらいで…。
壊されるほど…私の夢は脆かったの?