~甘い香りに誘われて~三度目の涙

ー朝ー

昨日は、夜遅くに帰って寝不足だったのか…朝が怠かった。
行きたくない学校へと今日も行く。
でも、楽しみな事が1つ私にはあった。

昨日、初めて出会った私より1つ上の先輩。
私と差ほど歳の変わらない男の子がお店を出している、
実力派の先輩。
こんな私にも優しくて話しかけてくれる先輩が…私は
好きだった。

でも…その「好き」は恋愛じゃない。
正直私も分からない…。
こんな気持ちを持った事が無いから。


一階に下りるともう父は居なかった。
いつもより遅く起きた私は、何故か…安心していた。
何故…?
分からない…。

「お父さん…もう…行ったんだ…。」

ポツリと独り言をこぼした。
その時、久々に母が私と口をきいた。

「今日は…帰れないみたいよ?…。」

母は皿を片付けながらそう言った。
その瞬間…私の心の中で何かが疼きだした。
反抗期も迎えたことも…言い返したことも…ない私だけど…今なら言える!
そう思った。