~甘い香りに誘われて~三度目の涙

すっかり暗くなってしまった。
どんなに遅く帰ろうと、存在が薄く…価値の無い私は
誰にも気づいてもらえない…。


「ただいま…。」

家はすでに明かりが消えていた。
私は、そっと静かに家の中に入った。
この薄暗さを見ると、また絶望に戻って来た感じがした


「もう…皆、寝ちゃったよね…。」

幼い頃は、お父さんも優しかった…。
遊んでくれることは無かったけど…今より断然…ましな
人だった。
幼い頃から、英才教育を無理矢理習わされて…その頃から私の人生は…決まっていたんだと思う。
こういう人生を歩まなければ…ならないって…。
完璧主義で、厳しい父に逆らえない私…。
だから、自分で何をしたらいいのか…どうしたらいいのか…判断力の無い私に育ってしまった。
いつの間にか…父からは見捨てられて…。
色んな人がら壁を作り…。
独りで…孤独な世界に閉じ込もっていた。