『あいつが裏切るときは、誰にも気がつかれないように動くさ。』


「‥‥昭美さん。
恐らく一番危険な立ち位置にいらっしゃいます。」




声のトーンが一段階落ちた蘭音。
裏仕様の声。




「何をしようとしてらっしゃるのか、何が起こるのか。
それは俺にも分かりません。

間違いないのは昭美さんが危険だということ。」


『それを俺に知らせてどうする？』


「澪が‥‥。」


『？』




澪？
なんでここで澪が出てくるんだ？





「澪が何か不穏な空気を感じています。

自分たちのことは気にしなくていいから、危ないことはしないで欲しいと、伝言を頼むくらいには。」


『‥‥っ。』


「昭美さんが危険だということはその周りも危険に晒される。

ましてや、今回のターゲットは澪と昭美さんの息子である翼くん。

何かしら対処をしておかないと、取り返しのつかないことになります。」


『‥‥わかった。
洋に伝えて対策を練っておく。』


「はい。
こちらは任せてください。」