スっと耳元で聞こえた私を呼ぶ声と、肺いっぱいに流れ込んでくる甘い香り。
“ 俺が、いる ”
────まるで、静かな水面に、ポタッと雫が落ちたみたいな。
「あお、い…………?」
「うん。
俺、蒼井だよ」
囁くような、その大きさはとても小さいものだったけれど、
意識が遠のいていた私を現実に戻すのには十分で。
ハッとした時にはうるさいぐらいのクラスの人達と、蒼井にぎゅっと抱きしめられてる私がいた。
「え、えっ……蒼井?」
「なに?」
「なにって……離、して…」
まだ心臓がバクバクと音を立てているけれど、これ以上蒼井に弱音を吐きたくないから。
弱い自分を見せることで、蒼井に幻滅されたくないから。



